第64回 日本心身医学会九州地方会
会長 貫名 英之
福岡教育大学健康科学センター

 このたび、令和7年2月8日(土)、9日(日)の両日にわたり、九州大学病院キャンパスで開催されます第64回日本心身医学会九州地方会の会長を務めさせていただきます貫名英之と申します。
 私は平成2年九州大学心療内科に入局して、大学病院にて消化器を中心とした心身症や軽症うつ病などの診療を行っておりました。その後、市中の病院で一般内科・心療内科の診療とともに、認知症などの高齢者医療や緩和ケアなども携わってきました。また産業医としても働くことで、労働現場などの周囲の環境が心身両面に与える影響というものを、それまで以上に強く意識するようになりました。人は環境含めた周囲から意識するしないにかかわらず身体的・精神的に様々な影響を受けて、その結果心身の不調をきたすということで、今回の学会テーマは「社会の中の心身医学」といたしました。

 さて、大会プログラムですが、口演による一般演題の他、教育講演1題、シンポジウム2題、特別講演2題を用意しております。1日目は現在私が福岡教育大学に所属しており、また産業医として福岡県内の教育委員会にもかかわることもあり、教育現場でみられる精神的・身体的問題に関する演題が中心となっています。教員の過重労働による精神疾患での休職者の増加など、学校現場における様々なストレスから心身の不調をきたしている現状について知ることは、先生方の日常臨床に心身医学的観点からお役に立つと考えています。
 教育講演では、福岡教育大学教職大学院の西山久子教授に「不登校と社会的自立へ向けた児童生徒支援の体制づくり」というタイトルで講演をお願いしております。シンポジウムⅠ「児童青年期によくみられる心身症」では、中学生から大学生にかけて良く見られる起立性調節障害・摂食障害・睡眠障害を取り上げて、それぞれ専門の先生方にご講演をお願いいたしました。またシンポジウムⅡ「学校現場におけるストレス」ですが、近年児童生徒や教員の心身両面での問題が取り上げられることがよくあります。学校現場でそのような問題に対応する養護教諭、スクールカウンセラー、医師の先生方にご講演いただきます。
 2日目は、特別講演Ⅰでは東京医科歯科大学歯科心身医療科の豊福明教授から、「大学生のこころと歯科的問題」についてお話ししていただきます。また特別講演2では、近畿中央呼吸センターの所昭宏先生に「緩和医療における心身医学の軌跡や最近の動向」についてご講演いただきます。
 多くの皆様のご支援とご協力に心から感謝しつつ、本大会が有意義で実りある学びと交流の場として、また未来に向かっての新しい展望を得る場として、皆様のお役に立てればと願っています。
 是非とも沢山の皆様のご来場、ご参加を心よりお待ちしております。